BVIFCOJ Newsletter in Japan
Bobby Vinton International Fan Club of Japan Newsletter, number, 35. Oct. 15, 2007 |
Watch Bobby's Visual Materials
~ボビーの映像資料を見よう!!~
今回は、これまで発売されてきたボビーの映像を収録した新しいものから、
順に紹介していきます。会員の方々、その他の方にも批評をお願いしました
のであわせてご覧ください。
今回紹介する映像資料リスト〔市販ないし、通信販売されたもの〕
Title | Distributor | Released date | Air date | Recorded hour | Guest | Format | Performance rate | |
1 | Bobby Vinton Live Songs from my heart | Image Enter -tainment | Sept. 17, '02 | Mar 2 , 2002 | 77 min. | Bobby's family | VHS/DVD | ★★★★☆ |
2 | A melody of love: A&E biography | New Video | 2001 | Dec .5, 2001 | 50 min. | Tony Orland etc. | VHS | ★★★ |
3 | Kissin’christmas | Velvet Prod. | 1996 | Dec, '96 | 52 min. | Trish Fevolt | VHS | ★★☆ |
4 | Live in concert | Velvet Prod. | 2001 | Aired in Canada from Jan. 28, 1995 concert at Montreal | 50 min. | Solo concert | VHS/DVD | ★★★ |
5 | The Bobby Vinton show | StarMaker | 1994 | Jan. 6, 1985 | 58min | Patti Page etc. | VHS | ★★☆ |
6 | Live at Sands hotel, Las Vegas | RKO Home Video | 1984 | circa 1981 | 60min | Solo concert | VHS/Beta | ★★★★ |
7 | Pink Lady & Jeff | Rhino Home Video | 2001 | Apr. '80(lost episodes) Aired on June 9, 2004 | 60min | Bobby Vinton etc. | DVD | ★★★ |
1 Songs from my heart | 2 A Melody of love | 3 Kissin' christmas | 4 Live in concert |
5 The Bobby Vinton Show | 6 Live at the Sands hotel, Las Vegas | 7 Pink Lady | and Jeff |
★★★★☆ 絶対観るべし
★★★★ 推薦
★★★ 準推薦
★★☆ 水準の出来
★の数は目安にすぎません。それぞれの批評文も参考にしてください。
1 "Songs from my heart"
ボビー・ヴィントンの至芸: ライヴ・コンサートからの検証・・・・
By バディ・みなみやま
満員御礼 2002年に行われたブランソンのコンサート録画を観た。
大都市のアーバンライフを離れた言わば、富裕層リタイア・エイジに
相応しい催しでアメリカらしさが漂うエンターテイメント重視のステー
ジ創りは予想通りでもあった。ボビーと客席の対話も和やかでしばし
マイクをおいての器楽演奏には、彼自身のにこやかなサービス精神
溢れるショー進行の清涼剤的な役割を果たしてもいた。昔のヒットシ
ンガーの定番とも言えるスタイルで舞台の進行しがちな懐かしの大
ヒット曲オンパレードに終始せず、工夫がなされていたのだ。
うまい流れの演出で、本人のインスト・ショウケースに注目し易い
仕掛けでもあった。
バックの伴奏楽団と競演する<ビッグバンド・メドレー>でボーカ
リストの顔からインスト奏者へと変身、次々と替わる有名曲に合わ
せての演奏姿もなかなか捨てがたい。
グレン・ミラーからベニ-・グッドマンの有名なナンバーで短いなが
らも果敢に挑んだその多才な側面は誠に、堂々のショウ芸人ぶりの
お披露目だ。
誰もが耳にしたことのあろう<ペンシルベニア~>ではトランペット
を、<ストリングオブパールス>ではアルトサックス、そしてグッドマ
ンの世紀のヒット曲<シング,シング>ではボビー本人が最も得意
とされるクラリネットへ、、と華麗な転身の妙技。
ボーカリストとして客席に愛嬌を振りまき、間髪を入れずに楽器に
持ち替えるパフォーマンスこそショービス芸人の必須事項とは言え、
年齢的体力的にも負担の多き管楽器の演奏。僅かワンコーラス以
内の妙技と言ってしまえばそれまでだが、中々堂に入ったバンドメ
ンのこなし方に驚かされる。
かってサミー・デイビスJr.が演じた2本指でピアノを叩きそしてバ
イブラフォーンに移り、ドラムセットに座る展開の舞台パターンとは
異なる訳でもある。一般的には呼吸調整もさることながら唄口合わ
せ(アンブシャー)の整え方が必要でもある点、ことにラッパとサック
スのマウスピースでは圧倒的にやり難さは残る。基礎として触れる
ピアノは別として歴代のジャズメンがマルチ的に様々な楽器の持ち
替えに挑んだのはコミカルなバンドか実験的な音を求める時くらい
がせいぜいだ。
本筋のインスト管楽器を極める事の観点からは、ブラスはブラス系、
サックスはサックス系と同種の範囲で持ち替えがノーマルと言える。
因みに、まともな録音や舞台でこなし得た有名なジャズメンでは超
一級のアルトサックスで20世紀をリードした巨匠ベニ-・カーター
が見せたラッパの名演が思い浮かぶ。
ボビーが見せるラッパ構えのルックスは往年のレイ・アンソニー風
で鳴らしつつも無難、一列に並んだサックスソリでリードするには音
色が少し貧弱で物足りなさが残った。
登場した実母とのコメントにも聞かれる戸外で飛び跳ねていた
ボビーの幼年時代。半ば強制的に習得したと言われるクラリネット
の腕前こそ本物!その伸びやかな音色は充分に一級レベルと評
価したい。 <June, 2007>
バディ・みなみやまさんは、足掛け30年に及ぶジャズのファンであるとともに
バディ・リッチ研究の第1人者としても著名で、現在はFM局RADIO-iの番組
"R‐i Jazz"(月-木:22:00-24:00)の月曜日を担当し、軽妙なDJぶり
を披露されている。
1-2 Songs from my heart
”ボビー!ホー・ホー”
渡辺秀明(会員)
ボビー・ヴィントンがミズーリ州ブランソンに自ら持つ「ブルー・ヴェルヴェット
劇場」での彼のライブを収録したこのビデオは、いながらにして舞台の興奮を
伝えてくれる。ボビーはこの時、67歳。歳を感じさせない歌声とパフォーマンス
ぶりは頼もしくバックバンドの楽譜台前面に輝く”BV"マークもまぶしい。
まず、女性コーラス(実はボビーの娘達)の掛け声で幕が開き、オープニング
は「トゥナイト」。歌詞が変えられ、”今宵は、くつろぎ私の心をこめた歌を楽しんで
・・・・”と、一気に雰囲気を盛り上げる。
この後、ボビーの歌とトークでショーは進む。感心するのは、最初から最後まで
彼はどの曲も手を抜くことなく熱唱し、声を枯らしたりしないところである。逆に、
持って生まれた歌唱力と豊かな声量に、いまさらながら驚かされる。
私が日本人のせいか、馴染みのある①「ミスター・ロンリー」②「ブルー・ヴェル
ヴェット」③「ブルー・オン・ブルー」が、ショーのどこで歌われるかを注目した。その
結果、前半に③、真中あたりに①、最後の方に②が出てきた。うまく、配分されて
いるとも思えたし、やはり劇場の名前にしているだけのことはあって、歌にランクを
つけるわけではないが、②①③の順に彼には(世評も)、大切な曲に違いない。
締めは「愛のメロディー」という、ボビー自作のポーランド語を含む人なつっこい
曲で、手拍子も入り、フィナーレを飾る。だが、この舞台がもっとも最高潮に達する
のはその前の「クライング」。ロイ・オービソンの曲をまるで持ち歌のように歌い、裏声
になるあたりから拍手が湧き、やがてスタンディング・オーベーションへ。ボビーがこの
曲にかける想いがほとばしり出ている。
個人的には”ブルー・オン・ブルー”♪のフレーズが胸にジーンときた。また「ミスター
・ロンリー」については、舞台と客席を真っ暗にして、歌う彼にだけスポットライトを当てた
なら、この曲をよりしっとり聴かせるのに、と感じた。
このショーで印象深いのは、ボビーがトランペット・サキソフォーン・クラリネットを器用
というより自在にこなすバンドショー、またポルカやアル・ジョルスンの曲、ロックなどの
メドレー、はたまた体格のいいダンシングガールズの様々な衣装による踊りや、客席で
の観客とボビーのやりとりより何より、彼の”家族の絆”がショーに活かされている点にある。
特にボビーのママの存在は強烈である。高齢ながら、赤いドレスを身にまとい、こんもりと
した髪型と目一杯の化粧で、堂々と歌い、踊る。この舞台になくてはならない薬味のよう
な味つけ」をしている。3人の娘達も踊り子同様、防波堤?のような迫力で、舞台に花をそ
えている。ボビーの息子+は、バック・バンドの一員となっているが、なぜか偉大なパパを
持ってしまった悲哀をちょっぴり感じさせる。(デユエットだけでなく、ボビーの歌の途中で
彼のギターのソロ演奏パートなどをもうければ、彼をミュージシャンとして観客に納得させ
るのでは・・・)。
でも、彼をも含めて家族みんなで舞台をつくっている様は好ましく、ボビーの劇場ならでは
の演出といえるだろう。
もう一点、舞台を盛り上げるようにボビーの『ホーホー』*という掛け声がよく上がる。気に
なったので、このステージで何回彼がそれを口にしたかを数えてみた(あまり意味のないこ
とかもしれないが、ひょっとすると、彼の舞台の出来と関係があるかも?)。私のカウントで
は25回であったが、むやみにやっているわけではないことも判った。
最後に観客のことだが、若い人も見られなくもないが、総じて見事に中高年一色。
**これは仕方ないことかもしれないが、今後ボビーがどこまで長く活躍できるかと
いうことにも繋がり、気になるところではある。聞くところによると、この劇場をボビー
はすでに手放したという。つまりこの劇場での最後のライブ記録となったこのビデオ
は貴重であり、元気な彼のステージから、”ボビーよ、永遠に”と願わずにはいられ
ない。
+ボビーの長男Robby Vintonは、映画「グッドフェローズ」(1990)にボビー・ヴィントン役
で出演している他、歌手としてCD"Dreams(BV Theatre BV1007)"を1997年に発表し
ている。作曲の才能もあり、映画「アメリカン・ヴァイオレンス」(1981)の主題歌”ジョン
に捧げる歌”を父親のボビーと共作している。1964年8月19日生まれでボビー夫妻の
最初の子として出生ている。
*”ホーホー”の由来
ボビーがジョン・ウエイン主演の映画「大列車強盗」に出演した際、セリフがほとんどなく
”ホーホー”と言って馬にまたがり、ウエインの後を追う役回りであったことから、たまたま
ステージで”ホーホー”とやったら受けたので、それ以来観客とのコミュニケーションを取る
手段として、使っている。”ホーホー”の回数が多いほどショウが好調な証拠と言える。
**ブランソンは、人口15万程の静かな田舎町で、訪れる観光客の大半はリタイアした
老夫婦で、カジノ等もなく、若い人の少ないのも十分うなずける。だから、この心配は
いらない。
1-3 Songs from my heart
<Bobby Vinton 健在!!!> 宮本啓(音楽評論家)本会特別会員 9月3日筆
始めに書いておくと、ボビー・ヴィントンと筆者は同い年。つまり1935年生まれである。ついでに付記すれば、故エルヴィス・プレスリーも音楽に関係ないが、あの長嶋茂雄も同年生まれ・・・ま、35年(昭和10年)は、そんな具合で”黄金の年”(?)だったと言えるのです・・・言えないか
余談はともかく、そんなわけで筆者はボビー・ヴィントンのレコードやCDを聴くとき、必ず自分自身を重ねてしまうのですが、今回の映像もご多分にもれず、オ-プニングからフィナーレまで終始自分が主人公のような気になって鑑賞しました。・・・そんなアホな。
ひっくるめての印象は「若い!」「楽しい!」「やすい!」と、すべて「!」を付けて叫びたくなる単語の羅列。最後の「やすい!」は、塚田氏からの提供画像を鑑賞したのですから。自分は一銭も払っていないわけで正しい書き方ではありませんが、この内容だったら数千円払っても高くはない、そんな気持で書きました。脱線だらけで申し訳ありませんが、「高い!」と「金返せ!」的な興行や商品も多いのですよ。最近では鳴り物入りで行われたピーター・マービーなるマジシャンの「F.・E・E・L/ピター・マビー・ジャパン・ツアー07」なるショウ、素人でもあんな舞台構成はしないよ、と思ってしまうひどい内容で、1部だけで帰ってきましたものね。
そこえゆくと、このボビーのステージの暖かい雰囲気は、見事です。母親から子供たちまで総動員のファミリー・ショウ的な作りにもかかわらず,ウチウチの自己満足的な感じは、ほとんどなく、あくまでも”エンターティナー”ボビー・ヴィントンのショウであり続けたステージ、作り方はもちろんですが、それ以上にやはりボビー・ヴィントンというパーソナリティの凄さがいかんなく発揮されていた、というべきでしょう。そしてびっくりするのは、衰えを知らぬその「声」。最初に書いた「若い!」は外見もそうですが、それ以上に声の艶やかさに対しての感想です。何年か前に”最後の”来日公演を行なったときのアンディ・ウイリアムス(因みにアンディは28年生まれ、ボビーより7歳年上)が、多分このボビーのステージと同じ位の年齢だったと思いますが、頑張っていたものの声の衰えは隠せず、ハラハラしながら聴いていたことを思い出しました。
ご存知のようにボビーは20年前,一度だけ日本公演を行なっています。その時のステージを思い起せば、細部は忘れましたが、全体として”静かな”日本のファンを意識したのでしょう、エンタティナーの面より,歌手の面を前面に出したオーソドックスなコンサートだったように記憶しています。でも、今回この映像を見て思いました。我々多くの日本人は、ホントのボビーをほとんど知らなかったのだ、と。
一人でも多くの人に見せたい。そう思いつつまた何度目かのビデオの”スタート”ボタンを押すのです・・・。
*宮本啓さんは、「ミュージカルへの招待」「映画音楽への招待」(丸善)などの著作や、NHK-FMの「ポップス・ステーション」(水曜日)のDJを’96年3月まで5年間務めたほかイージー・リスニング系のアルバムを
中心にライナー・ノートを書かれている。現在では「M通信」というミニコミ誌を発行されるなど多方面で活躍されている。ボビーのLP”Autumn memories"('78)の日本盤は、宮本さんがライナーを担当されている。
2 A melody of love : A&E Biography 編集部
Air date: Dec. 5, 2001 (50 min.)
Cast: Bobby Vinton, Chris Vinton, Dolly Vinton, Dorothy Vinton
Clive Davis, Merv Griffin, Tony Orland, David Wilde(Rolling Stone
Magazine) and others.
Arts and Entertainmnet(A & E)networkのBiographyは1987年4月より
米のケーブルテレビで毎晩放映されている人気TV番組で,政治家、スポーツ
選手,俳優から歌手まで登場している。1部はビデオ(DVD)化され市販もされて
いるし、放映された番組を希望により、ビデオ化するサービスもあるようだ。日本
では1部の政治家、歌手ではアンディ・ウィリアムスのものなどが紹介されている
のみで大半が未紹介に終わってしまっている。通常は1時間番組だが、枠をひろ
げて2時間のときもある。
さて、ボビーがこの番組に登場したのは比較的はやく2001年の12月3日(月)
から12月7日(金)の週で、Teen Idols Weekと題され、12月5日(水)に放送されて
いる。ちなみに,この週に登場した他のアイドルは、Buddy Holly, Brenda Lee, Bobby
Rydell, Lesley Goreであった。
内容はボビーのキャリアを追いながら、珍しい映像をはさんで、家族、友人、ショウ
ビジネス界の重鎮たちがコメントを述べるといった構成。”涙の紅バラ”は「ジミ-・ディ
ーン・ショウ」”ブルー・ヴェルヴェット”は「エド・サリヴァン・ショウ」”ミスター・ロンリー”は
ディック・クラークの「アメリカン・バンドスタンド」”愛のメロディー”は「ボビー・ゴールズ
ボロショウ」の映像で紹介され特に”涙の紅バラ”などは当時から歌のうまい人だったん
だなと感心させられる。”ブルー・ヴェルヴェット”の映像はかって日本でも放映されたこと
がある。当時、筆者は中学生だったが1965年の5月23日(日)の夜9:30から10:00
までの枠で日本テレビ系列で”エド・サリヴァン・ショウ”が放送されボビーはこの日に
ゲストとして登場して、ヒット・メドレーのなかで、この曲を歌っていた。当時の印象とし
てはレコードとは歌い方が違うなと感じていたが、現時点見るとやはり歌の上手さが光
る1964年1月19日の映像が使われている。このほか、後半では1975-78年に
カナダで制作されアメリカでも放送されていた"Bobby Vinton Show"の映像も出てくる。
経歴の前半が詳細に描写されているのとは、対照的に後半はやや走りすぎている。少な
くても、1978年に出版された自伝The Polish Prince"には触れてもらいたかったし、
1974年12月29日にニューヨークのカーネギー・ホールでの公演も無視されていた。
ミスもある、LP"Blue Velvet"をソロシンガーとしての3作目としているが、正確には、
その前にLP"Greatest hits of the golden groups"があり、4作目のはずである。
コメントを述べる人達の中では、友人である”幸せの黄色いリボン“”恋するキャン
ディダ”などをヒットさせたトニー・オーランドがもっともよく登場し、いろいろなエピソード
を語っている。
クライブ・デイヴィスは”ボードビリアンの伝統を受け継いだエンターテイナー”として
ボビーを位置づけている。
貴重な映像・証言もあるが、もう少し時間をとって’70年代以降のボビーについても
詳細に描写してもらいたかったというのが素直な感想。
伝記物としては、市販はされなかったが、1983年11月26日(土)の夜,1時間枠で
"Salute, Bobby Vinton"という番組も制作されている。スタジオ収録でホストのディック・
クラークとボビーが対座して会話をかわしながら合間にゲストを登場させキャリアを振り返
っていくという構成で貴重な映像もでてくる。ゲストには、テッド・ナイト、アル・ハート、
フランキー・アヴァロン,それにコメディアンのチャーリー・カラスなどがボビーとからむ。
ボビーの楽器演奏、往年のヒット曲は出色の出来でお見せできないのが残念だが、
ゲストが少し役不足かなとも感じる。当時のカリフォルニア州知事もボビーに対する
賛辞を述べている。
なお、この番組は短期間シリーズで放送され’83年10月から12月にかけて11組
のアーティストが登場している。ボビーの翌週はチャック・マンジョーネ、前週は二-ル・
セダカが出演し、その他では、ポール・ウィリアムス、ホセ・フェリシアーノ、ルー・ロウルズ
なども登場した。制作・監督は著名なボブ・ヘンリーが務めている。市販はされなかったが、
米国の議会図書館に番組がそっくりビデオで所蔵されているので、あえて紹介しておいた。
3 Kissin' chrsitmas
編集部
筆者は,1度だけボビーのクリスマスショウに接した
ことがあるが、記録によると、1997年12月21日
場所はアトランティックシティのタジマハ-ル内のア
リーナ,時間は昼間の15:00から16;30となっている。
アンディ・ウイリアムスやペリー・コモのようにクリスマス
のスペシャリストではないボビーのショウの構成は、クリ
スマス物と、通常のショウで歌われるナンバーが半々で、
コンパクトにうまくまとめられていたというのが、その時
の印象。
それに対してこのビデオは1996年に劇場でのみ
入手できた自費制作映像で、おそらく前年の1995年
のクリスマスシーズンにボビーの劇場で録画されたので
あろう。同じタイトルのCDが’95年にエピックからリリース
されたのを受けてのビデオ制作と思われる。制作にあた
っているのが、奥さんのドリー、失礼な言い方をすれば、
プロではなく素人、それだけに、内容にはやや不満が残る。
収録時間も1時間弱で、ショウの中からクリスマスナン
バーの箇所だけを取り出して、つなぎあわせているようで、
ボビーのヴォーカルもでだしの”ジングル・ベル”からやや
精彩を欠いている。”サンタが街にやってる”などもCD,
LPでの録音にくらべ躍動感がない。救いは"He"の名唱。
この時期ボビーの1団に加わっていた女性歌手Trish
Fevoldが清楚な歌声でショウに華をそえているが、ラスト
近くの”まきびと羊を”ではボビーが肝心なところで歌詞を
間違えてしまっているのもいただけない。
ホセ・フェリシアーノのクリスマス作品"Feliz navidad"などを
取り上げるなど確かな選曲眼を見せているのはさすがだが、
家族を総動員して精一杯のエンターテインメントを見せては
いるが、全体としては"Songs from my heart"のレベルには
到達しておらず、現在はすでに販売が終了しており、パスして
も問題ないだろう。
なお、ビデオの発売当時、幾つかのローカルテレビ局では
放映され、、それなりに評判を得ていた事を付け加えておこ
う。
4 Live in concert(Jan. 28, 1995 at Place des Arts, Montreal, Canada)
~カナダの人気者ボビー~
編集部
1995年、この頃のボビーは1月~3月までが北米のツアー、
4月~12月が自身の劇場への出演という多忙なスケジュール
をこなしていた。
1月26日がトロント、翌27日がオタワとカナダ公演を続け、この日
がその最終日のモントリオール公演だった。
カナダという国はボビーには特別な存在。というのはTVの
”Bobby Vinton Show"(1975-1978)はトロントで制作され
全米にシンジケートされ52回(30分)放送され、カナダでは特に
視聴率が高かった。Ahed Musicというカナダのマイナー・レーベルが
ボビーの2種のLPをリリース。"Party Music: 20hits"(TVLP 177604)
<1976>と"100 memories"(TVLP79054)<1979>〔2LP set〕で特に
前者は、TVショウの放映が重なりベストセラーとなりカナダだけで
ゴールド・ディスクを獲得している。その他にも”涙のくちづけ“
”愛のメロディー”などは本国以上に歓迎され、言わば国民的な
スターであった。
さて、この日のボビーはTV中継がされた事もあってかどこか興奮気味だ。
声は比較的でているが、オープニングの”トウナイト”から音程がふらつき
気味でラストの”愛のメロディー”では力みが見られる。楽器演奏でも音程
をはずすシーンもあり必ずしも万全なコンサートではない。
2001年にこの映像の権利をボビー側が買い取り、劇場で販売を開始している。
当初はVHSのみであったが、その後DVDも発売されDVD化にあたり
”ミスター・ロンリー”が追加収録された。ただ、”ミスター、、、”の出来は
それほどでもない。
90分のショウが50分短縮されているのもマイナス材料。どうせなら、トー
クの箇所をカットし歌唱の部分をもっと入れてほしかった。会話はなかなか軽妙だが、日本人には、わかりにくい。
そうは.言っても客席とのコミュニケーションの取り方はうまいし中盤
のヒット・メドレーでショウを引き締めているのはさすがで、"Please
love me forever"はレコードでは、スイートなバラードだが,ライヴでは
ドラマティックに歌われる事が多く、ここでもショウのクライマックスと
いえるような歌唱をみせている。
”Total Entertainer”と呼ばれるボビーだが、ここでもその片
鱗を見る事ができる。なお、このショウはボビーのワンマン・ショウで
ボビーの家族は登場していない。
通信販売で、ボビーのオフィシャルサイトを通じて入手可能。DVDも
リージョン・フリーなので日本のDVDプレイヤーで再生可能である。
http://www.bobbyvinton.com/
5 The Bobby Vinton Show
Guest: Bob Michell Choir, Boxcar Willie Patti Page,
Indian River Boys, Henry Questa, Willie Tyler & Lester,
Bettina Rae and others.
~ ボビー・ヴィントン・ショウに見るボビーのパーソナリティ~
編集部
1985年1月6日に生放送されたこのショウは1975年~1978年にオンエア-されていた同名のショウとは、関係なく単発番組として制作された。
(ただ、Patti Page , Willie Tyler&Lesterはレギュラーショウにもゲストと
して登場している。)1995年にビデオ化されたが、多くの点で疑問の残る
ショウでもある。まず、ゲストが多すぎる事。せっかくパティ・ペイジを
呼んだのだから、もっと活用してもよかった。ソロで歌うのは”テネシー
・ワルツ”とボビーのヒットを出演者がメドレーで歌うコーナーでの
”こんなに愛しているのに”の2曲だけでは、物足りない。特に後者では
素晴らしい歌唱を披露しているし、ボビーとデユエットさせるなどもっと
考えてもよかった。カントリー歌手Boxcar Willieはカントリー・チャート
に10曲程のヒットを出してはいるが、ゲストとしては力量不足を感じる。
いっそのこと、腹話術のWillie Tyler & Lester,Bob Mitchell Choir
それに”ベイビー・フェイス”を歌い軽いタップも見せる女の子Bettina Rae
位にしぼったほうがよかった。
次ぎの疑問は、オーケストラ。女性をメンバーに加えるのはよいが、技量がともなっていない。
オーケストラ自体にもアンサンブルの乱れが見られる。
救いはボビーのパーソナリティで、彼の暖かい人柄が随所にでている。
楽器演奏でも十分な実力を披露しているが、歌唱でも"He"は傑出している。
ショウとしては、1955年から1982年までABCTVで放映されていた
"Lawrence Welk Show"を意識した構成内容だが、ボビーの歌唱場面を
もっと増やし彼のパーソナリティを全面的にだすような構成が必要だった
のではと感じてしまう。
6 Live at the Sands Hotel, Las Vegas
関 信行(会員)
ボビーのライブ・ビデオの中では言うまでもなく2002年9月リリースの『Songs from my heart』が最高傑作であるが、これに次いで個人的に気に入っているのがラスベガス、サンズ・ホテルにおけるステージの模様を収めた本作品『Bobby Vinton』(RKO1009)である。ビデオの発売は1984年ながら収録時期は1981年頃と思われ、当時40歳半ばのちょうど脂の乗り切った充実期のボビーが楽しめる作品である。
熱心な女性ファンたちとのキスの交換が見られる「涙の紅バラ」でショウはスタート。次いで、ステージ下での聴衆との交流では、「Makin' Whoopee」「On a Slow Boat to China」「Teach Me Tonight」の「スタンダード・メドレー」が唄われる。
「ブルー・ファイア」で始まる自身の「ヒット・メドレー」は実
に10曲から成る熱演、「愛はいつまでも」やディスコ風
の「涙のくちづけ」を含み、最後の「Please Love Me
Forever」(いつまでも愛して)が終わるや、盛大なスタンディ
ング・オーベーション、会場は一気に盛り上がる。お馴染みの
「ビッグ・バンド・メドレー」と「インストゥルメンタル・メドレー」を
はさんで唄われる「He」は当時のボビーの決定的ナンバーで
聴く者を圧倒する。アルト・サックスによる「I'm Getting
Sentimental Over You」と音楽監督のロイド・モラレス
(ドラムス)をフィーチャーしたクラリネットによる「Sing,
Sing, Sing」で器楽奏者としての実力を改めて示した後
は「ポルカ・メドレー」、さらに「ラスベガス名声の殿堂歌手
メドレー」と続く。ケニー・ロジャース、エンゲルベルト・フン
パーディンク、アンソニー・ニューリー,ディーン・マーチン等
のモノマネを披露するが,中では、プレスリーの「Love Me
Tender」が一番サマになっている。さらに「Johnnny Be
Good」でロックン・ロールを楽しんだあとは、一転してゆっ
たりとしたテンポの「Let Me Love You Goodbye」へ。
前述の「He」同様、アルバム『Encore』Tapestry
(TRS-1000)収録の佳曲だ。最後は「愛のメロディー」で
聴衆と一体となってショウはクライマックスを迎える。
ボビーの調子は勿論、ショウとしての構成も悪くない。
唯一,残念なのは、60分足らずという収録時間の短さ。
実際のステージはもっと長かった筈であるし、幾つかの
セットからの編集でもよい、せめて80分くらいの内容に
して欲しかった!
注:このビデオは発売当時、日本でも東映ビデオが輸入ビデオとしてカタログに載せていた。
店頭販売はされず、オーダーを受けたら届けるという方式を取っていた。ちなみに価格は25000円であった。
現在は廃盤だが、e-bayなどのオークションで入手可能である。
7 Pink Lady & Jeff 編集部
’70年代後半、日本で爆発的な人気をえていたピンク・レディーがアメリカ進出を敢行したのは、’79年頃からで、ラスベガスで公演などしたあと、1980年3月から米のNBCのヴァラエティ・ショウ”Pink Lady"の主役に抜擢された。1時間番組で実際にはJeff Altmanという若手のコメディアンが二人の通訳のような感じで番組をリードしていた。
2001年にアメリカでのみ発売されたDVD"Pink Lady ... and Jeff"は3枚組みで計6回分の放送が収録されている。番組自体は不評で1ヶ月で打ち切りになっており、ボビーは同年4月第2週にゲストとして登場する予定であったが、番組はその前週で打ち切り、DVDには、ボビーの登場するプログラムがロスト・エピソードとして収録されている。
さてアメリカでのピンク・レディーに,触れるとシングル”Kiss in the dark"
(Electra 46040)"は’79年の6月からチャート・インし11週間ランクされ最高位37位を記録している。この曲を収録したLP"Pink Lady(Electra 209)"は8週間ランク・インしたものの最高位は203位と200位圏内には登場しなかった。収録曲は全10曲で、"Kiss in the dark"の他には、"Love me tonjght""Walk away Renee"など英語のナンバーに終始している。
彼女たちのアメリカでのキャッチ・フレーズは<Femele disco duo>,
<Singing & dancing group>などだが、この番組を見る限りでは、
たどたどしい英語力、それにアメリカの生活にとけこめていない
印象が残る。
さて、ボビーはこの放送日のメイン・ゲストで3度,登場する。
最初は番組が開始されてすぐヒット・メドレーを歌う。”涙の紅
バラ~ブルー・オン・ブルー~こんなに愛しているのに
~涙のくちづけ~ブルー・ヴェルヴェット”でここでは、あくまで
ソフトなバラード・シンガーというイメージを強調している。
2度目はジェフ・アルトマンに7ヶ国語を話せる歌手として
紹介され、ピンク・レディとのからみもある。まず、ピンク・
レディがクイーンの"Crazy little thing called love(愛という
名の欲望)”を歌い次ぎの"Him"[ルパート・ホームズの当
時のトップ10ヒット]からボビーが加わり、最後は、チャック
・ベリーの”ジョニー・ビー・グッド”でしめくくっているが、
ボビーは控えめで2人をたてるような歌い方で、両者の息
は必ずしもあっていない。
3度目は番組最後の出演者が風呂につかるシーンにも登場し、
バスにはいる。番組はここで終了する。
この日の放送には、他に、ロイ・オービソンもいて”プリティ・
ウーマン”を披露するが、ピンク・レディはロイの紹介として
”日本では三船敏郎より有名です。”と英語で話すが、流暢
な英語といえずコメディーが多いのも二人には重荷になって
いたであろう。
また、このDVDはリージョン1で日本のプレイヤーでは再生
できない。広いアメリカでは再放送も頻繁になされ、その時に
は、このロスト・エピソードも放映されている。
<ボビーの主なテレビ出演(1980~ >
1 Pink Lady: Host Pink Lady & Jeff Altman(1980)(lost episode, not broadcasted).
2 Gossip Columnist(1980) Drama
3 Merv Griffin Show(1980) Bobby sings "Rockin' Robin"and "He"
4 Barbara Mandrell & the Mandrell Sisters(Dec. 1980)Bobby sings "He", "Oh holy
night" and duet with Barbara Mandrell "Lookin' for love"
5 Solid gold(1981)Host: Dionne Warwick. Bobby sings hit-medley with Dionne.
6 All-star salute to Mother's day(May 10, 1981)
7 Solid gold(1983)Host: Marilyn McCoo. Bobby sings"Ghost of another man".
8 Salute! Bobby Vinton (Nov. 26, 1983)Host: Dick Clark
9 Boone: Chance of a lifetime(1983)
10 Benson: Solid Gold(Feb.1, 1985)
11 Solid gold(1986)Bobby sings"I love how you love me"
12 Live in concert(1995)Canada only
13 Kissin' christmas(Dec. 1996)
14 Coach: Leaving Orland, pt. 1(May 7, 1997)
15 Polish Americans(1998)
16 A&E biography: A melody of love(Dec. 5, 2001)
17 Songs from my heart(Mar. 2002)
18 Hollywood Squares(Jan. 26-30, 2004)
斜字は今回、紹介作品。
<News>ボビー・ヴィントンについてのニュース
このほど、ボビーのハイスクール時代の同窓生が、ボビーの
彫像を故郷のキャノンズバーグに建てるため、10万ドルの寄附を
ボビーに申しでたところ、ボビーの返答は”僕は、まだ現役だし、
そんな大金はもっと別の目的、例えば社会福祉的な用途に用い
られるべき。”と事実上、申し出を断った。同郷のペリー・コモの像は
すでに、キャノンズバーグに1999年に建てられている。
真面目なボビーらしい考え方で、彼の人柄がよくでた出来事と思い
ませんか!!
<New Release in Japan>
12月5日にソニー・ミュージックからボビーのCDが発売されます。
はじめてベスト Epic EICP-863 \1,200 10曲入り
曲目: ブルー・ヴェルヴェット、涙の紅バラ、ブルー・オン・ブルー、
さよならベイビー、涙のくちづけ、ミスター・ロンリ、ブルー・
ムーン、ディス・ガイ、ブルー・ファイアー、愛のメロディー
内容は今年の初めにカナダでリリースされた"Collections"と同一
で、「さよならベイビー」「ディス・ガイ」は日本では初紹介。「ブルー・
ムーン」は約40数年ぶりの登場。「ブルー・ヴェルヴェット」が某車メーカー
のCMで効果的に使われたことが、発売につながったようだ。
また、同じ”はじめて ベスト”シリーズとしてバングルス、ウィリー・ネル
ソン、マイケル・ボルトンなどが同時にリリースされるようだ。
期間限定生産商品なので、お買い求めはお早めに!!
オムニバス物では、すでに同じソニーから"Beyond the sea"(SME
SICP1510/11)という2枚組のスタンダード集が8月22日に発売されて
おり、ボビーの「ブルー・ヴェルヴェット」がボーナス・トラックとして収録
されている。全51曲入りでアントニオ・カルロス・ジョビンからマリリン・
モンローまで珍しい作品も収録されているが、価格が3,780円と高いのと
音質が今一つよくない(例えば、パーシー・フェイスの「夏の日の恋」はモノ
ラル録音)点を考慮すると、御薦めはできない。編集は昨年英国でされた
ようだ。
<New Books>
DeAGostini発行 ゴールデン・ポップス 51号(2007・10・02)
CD付属 ビジュアル・マガジン 隔週刊
1963 part 6
曲目: 素敵なメモリー(ジョニー・ソマーズ)
かわいいドンナ(ディオン)
けんかでデート(ポール&ポーラ)
いとしのリンダ(ディッキー・リー)
あたしのボーイフレンド(エンジェルス)
恋の売り込み(エディ・ホッジス)
ブルー・オン・ブルー(ボビー・ヴィントン)
お熱をあげて(ジーン・トーマス)
モア(カイ・ウィンディング)
虹を呼ぶレッド・リヴァ-(コニー・フランシス)
全10曲
永遠のスター名鑑: ボビー・ヴィントン p15-17
曲目解説「ブルー・オン・ブルー」p10,11
このシリーズの選曲・監修は音楽評論家の八木誠氏、ボビーのよき理解者
の1人だ。永遠のスター名鑑には珍しい写真とともに、ボビーのキャリアにつ
いても触れているが、"I love you the way you are"のレコーディングに関して
Diamond Recordsにもう1枚のシングルを吹き込んだと記載されているが、これは
誤り、もともとこの曲は、Diamond Recordsで録音したのでなく、たまたま録音テープ
が、ボビーの友人でもあるDJ Dick Lawrenceを通じてこのレコード会社の手に渡っ
たにすぎない。(このあたりのいきさつは自伝”Polish Prince"に書かれている。)
この頃の録音としては、Alpineから2枚のシングルがリリースされている。
"First impression/You'll never forget"(AE50)('59-8)"A freshman and a
sophomore/The sheik"(AE59)('60)がその2枚で"I love you the way you are"
も同時期に録音されたようだ。
又、1993年に自身の劇場"Blue VelvetTheater"を建てた事について触れていないのが、
不思議だ。もし、知らないとしたら少し勉強不足と言われても仕方ないであろう。
編集後記
今回はボビーの映像資料を特集してみました。文章だけでは、わかりにくい面も
あると思いますが、アメリカのファンはボビーの魅力はライブで最大限に発揮される
と口々に言っています。"Songs from my heart"はそうしたボビーのライブでの実力
が結集された傑作映像です。少しでも、多くの日本人がこの映像を鑑賞してくれたら
と願っています。人間が生きていくうえで家族がいかに大切かをボビーはこのショウ
で、教えてくれたような気がします。ミュージカルの傑作"Sound of music"を思い出
させてくれるような内容です。
特集のため、いくつかの連載記事をとりやめました。今回は’80年代以降の映像
しか紹介できませんでしたが、’60年代、’70年代についても、近々,特集する予定です。
紹介した映像資料を入手したい方は、次ぎのアドレスにEメイルを出してください。
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Bobby Vinton International Fan club of Japan Newsletter, special issue Celebrating his 70th birthday April 16, 2005 |
<Memorable hits>あの曲
My melody of love 愛のメロディー ABC ABC12022(1974)
日本盤 IPR10654('74-11)
Music by Henry Mayer, English and Polish lyrics by Bobby Vinton
Producer: Bob Morgan Arranger: Al Capps
Flip side: I'll be loving you 君を愛して
1973年の事。1960年より在籍していたエピックレコードとの契約交渉で、会社側は
ボビーにカントリー・シンガーとしてなら契約更新できる旨を伝えたが、ボビーは納得せず
会社を離れる道を選んだ。エピックでの最後のシングルは”I can't believe it's all over"。
(Epic 5-11035)でスキーター・デイヴィスとの競作となったが、ヒットにはならなかった。
〔この曲は後にLP”WITH LOVE"(EPIC PE32921)に収録された。〕
不動産屋に転身していた元プロデユーサーのボブ・モーガンを口説いて、制作者に
編曲者にはアル・キャップスを起用し1枚のシングルを自費で作成した。
まずエピックレコードにデモテープを送ったが、返答はなく、大手レコード会社に次々と
売り込んで8社目のABCレコードでやっと発売にこぎつけたナンバーが”愛のメロディー”
で、元々はドイツのヒット曲で1974年の春から夏にかけてPeters & Lee のレコードで
イギリスなどヨーロッパで大ヒットを記録している。ただし、タイトルは"Don't stay away
too long"となっている。ボビーは母親の忠告を受け、英語にポーランド語を交えて詞を書き
その年の9月からチャートに入り、11月には第3位(レコードワールド誌では第1位)まで
上昇した。トータルで17週間ランクされゴールドディスクを記録。これ以降、彼のもう一つ
のテーマ曲として親しまれることになる。又、歌詞の1部にポーランド語を用いたことから
"Polish Prince"と呼ばれ民族的な背景によるファンを獲得することになる。
日本でも当時、比較的よくオンエア-されていた。翌’75年にはフランスでミレイユ・マチュ-
のフランス語のバージョンが大ヒットとなり、ポピュラーな人気曲となっていった。
From the Billboard hot 100 of Nov. 16, 1974 1 Whatever gets you thru the night/John Lennon 2 Do it/B.T. Express 3 My melody of love/Bobby Vinton 4 Tin man /America 5 Back home again/John Denver |
(会報 第2号に掲載)
All time great albums<この1枚>
Blue velvet/Epic BN26068. LN24068('63) 日本盤: PS6009(’63-12)
Producer: Bob Morgan Arr. & cond. by Burt Bacharach
Selections: Blue on blue, Am I blue, Blue blue day, Mr.blue, Blue
velvet, St Louis blues//Blue skies, Blue Hawaii, Blue moon,
Little miss blue, Blueberry hill, My blue heaven
録音データ: Apr. 3, 1963-Blue on blue-New York
May 27, 1963-Blue velvet-Nashville
May 29, 1963-Blue moon-Nashville
1963年に、"Blue on blue"のタイトルでリリースされたが、"Blue velvet"の大ヒット
により、改題し再リリースされた。タイトルにブルーの付く曲が12ありアルバムチャート
でも10位まで上昇し33週間ランクインした。"Blue moon"はイギリス映画”狼男アメリカン”
の冒頭で効果的に使用された。日本では、1965年に"Mr.blue"がシングルカットされスマッシュ
ヒットとなった。随所で歌の上手さが示されてはいるものの、代表作とは言えず、今日まで
CD化が見送られている。タイトル曲の"Blue velvet"は1986年に同名の映画の主題歌として
再注目された。1990年には、イギリスで化粧品メーカーのCMに使用され大ヒットを記録した。
編曲・指揮は"Blue velvet"を除いてBurt Bacharachが担当、シンプルなアレンジでボビーの
ヴォーカルを盛り立てている。
(会報 第1号に掲載)
<Best CDs by Bobby Vinton>
ボビーのベストCDを聴こう!!
1 Legacy 47855('91) | 2 K-tel 8017-2('94) | 3 SMSP AS27260('99) |
4 TeeVee TVCD0705('02) | 5 TVmusic A2-52296('01) | 6 Reader's Digest 096C('94) |
7 Curb D2-77253('90) | 8 V.Sara.302066512('03) | 9 SMH FCCP41384('03) |
10 SMD MHCP133('03) | 11 Legacy EK85873('04) | 12 SME 5153982('04) |
13 Curb ROJOC1015('94) | 14 Epic 4871672('97) | 15 Marginal BV001('99) |
ボビーのベストCDはすでに何種類もリリースされている。今回、その中から、特にお薦め盤
を主に紹介したい。
☆☆☆☆☆ 6 リーダースダイジェスト社から発売された3枚組CDで、選曲、音質など申し分ない。
欲を言えば、録音データを付けてほしかった。
☆☆☆☆ 8 エピックにおける主要なヒット作品を収録。貴重な写真やライナーもついている。
☆☆☆☆ 15 ベルギーで発売された貴重盤。”ミスター・ロンリー”のイタリア語盤や米国で
未紹介の"If that's all I can"など31曲も収録されている。
☆☆☆☆ 1 ’60年代の作品が16曲選曲され、音質もよい。
☆☆☆★ 2 廉価版で発売されたが、好選曲で廃盤になってしまったのが惜しまれる。
☆☆☆★ 5 通信販売で入手可能な2枚組。録音データも記載され選曲も良好。
☆☆☆★ 14 ドイツでリリースされた編集盤。初期の作品が中心だが、”雨にぬれても”
なども聴ける。
☆☆☆★ 9 日本でリリースされたのが大きい。10より6曲多く26曲入りでファンには
たまらない。
☆☆☆ 3、4、7、10-13: 3,7には”愛のメロディー”が収録されているのが貴重。
これまで、エピック時代のヒット作品を網羅したCDが発売されていないので、今後の
リリースを期待したい。
(会報15号の記事に加筆)
Bobby Vinton interview ボビー・ヴィントン・インタビュー
Date: Sept. 15, 1996
Location: Blue velvet theatre
Q: 日本では、音楽評論家などがあなたとアンディ・ウィリアムスを
よく比較しますが、彼の事をどう思いますか?彼の劇場はすぐそばに
ありますね。
BV: 彼は、いい声の持ち主です。彼とはよくゴルフを共にします。
Q: ’60年代に活躍したティーン・アイドルのなかで、ポール・アンカや
二-ル・セダカは現在でも現役で活躍しています。何故、彼らは人気を
保持できたのでしょう?
BV: 彼らは頭がよくてビジネスマンだからです。
Q:”ブルー・オン・ブルー”はバカラックの作品ですね。LP”Heart of hearts"
には、彼の"Charlie"という作品も収録されています。彼は好きな作曲家
ですか?一番好きなソングライターは誰ですか?
BV: バカラックは好きな作曲家です。一番好きなソングライターはアンドリュー・
ロイド・ウエバーです。
Q: ビートルズの故ジョン・レノンと親しかったようですね。’72年のマジソン・スクエア-
ガーデンでのコンサートに協力したり、"It was nice to know you, John"を作曲したり
していますね。
BV: 所属の事務所が同じでマネージャーがアラン・クラインであり仲良くなったんです。
Q: ジーン・アランはあなたと"Coming home soldier""Mr. lonely"などを共作して
いますが、彼はもしかしてジーン・ピットニ-でしょうか?彼の本名はGene Francis
Allan Pitney"です。
BV: ジーンは友人で、ジーン・ピットニ-とは別人です。現在はヘアーサロンで働いて
います。ところで、ピットニ-は日本で有名なのですか?
Q: ピットニ-は日本でも何曲かヒット曲があります。"He"という曲はいつもあなたの
ショウでハイライトになっています。この曲を誰の薦めでいつ頃から歌っているのですか?
BV: 20年位前で、母親の薦めです.
Q: ’79年に"100 memories "と題されたアルバムがカナダでリリースされましたが、
誰が100曲を選んだんですか?どこで録音しましたか?日本ではこの2枚組の最初
の1枚がカセットテープででたことがあります。レコード会社のスタッフがこのレコードを
気に入ったからです.
BV: 選曲は自身でしました。録音はカリフォルニアです。大好きなLPです。
Q: あなたの発表したアルバムには、アレンジャ-がクレジットされていない盤が
あります。例えば、"Country boy""Take good care of my baby"などです。編曲
は誰がしているのですか?"Please love me forever""I love how you love me"
もアレンジャ-はクレジットされていません。
BV: 編曲者はいません。ミュージシャンを集め、譜面を見てセッションをすすめていきます。
Q: これまでリリースしたアルバムで一番好きな盤は?
BV: "Greatest hits"(Epic)albumです。
Q: それは何故ですか?
BV: ”涙の紅バラ“”ミスター・ロンリー”など私のヒット曲がたくさん収録されているから
です。
Q: 劇場(現在は通信販売)で発売されているコレクター・シリーズのCDには未発表の曲が
かなり収録されていますが、新録音ですか?
BV: 20年程前に録音し廃棄しようと考えていたんですが、息子のクリスがリリース
を薦めてくれたのです。第1集の"Shalom"は自作で、クリスはシングル
でだしたらヒット間違いなしと言いました。第4集(カントリー)の未発表曲は5年位
前に録音しています。
Q: 好きな歌手は誰ですか?
BV: 女性ではコニー・フランシス、男性では、ジョニー・マティスです
Q: あなたの生年には、1935年と1941年の二つの説があります。どちらが正しい
のでしょうか?
BV: 1935年ですが、母親は1941年といっています。
(年齢を尋ねるのは、やはり、男女の区別なく失礼にあたるので、この質問を
するには本当に勇気がいった。ボビーも一瞬むっとした表情を見せた。)
このインタビューは劇場のステージ脇の応接室兼オフィスで約1時間続いた。
当時は昼と夜の2回ショウを開催しており、その合間のインタビューであった。
持っていった彼の日本盤シングルのジャケット写真を見せると、サンレモ歌謡祭で
歌った"Lo non posso crederti"が日本ででていたを知って驚いたり、”カミング・
ホーム・ソルジャー”などに使用された写真が珍しいらしく、くいいるように見ていた。
高齢の母親も同席し、時折、二人で相談して答えをしていた。 どちらかといえばシャイ
な感じを受けた。ボビーはファンを大事にする人で、私の名前もファイルに載っていた
らしく日本人男性というだけで、私の名前をすぐファイルから探し出したのには恐縮した。
その日の夜の劇場に出かけ、ボビーの素晴らしいショウを現地で堪能できた。それ
ばかりでなく、何とボビーは客席にいた筆者を日本からわざわざやってきたファン
として観客に紹介してくれた。予測していなかった事態に私は起立して頭を下げる
のが精一杯。こんな事は,生涯ではじめての出来事だった。
劇場はその後売却されたが、2005年の冬には、ボビーが登場する予定に
なっている。
(会報 第8号に掲載)
<Bobby on Tapestry Records>
タペストリーレコードのボビー・ヴィントン
タペストリーレコードは’70年代の後半にボビー自身がロサンジェルス
に設立したレコード会社で、現在でも彼は、この会社名をCDのレーベルに
使用している。このレーベルから発売されたレコードをまとめてみよう。
45s
+TR001 Disco polka/I could have danced all night('79)
+TR002 Make believe it's your first time/I remember lovin' you
TR003 He/My first and only love('80)
TR004 Maybe/Monkee's gun Artist: Mama's Pride
TR005 It was nice to know you, John/Ain't that lovin' you
+TR006 Let me love you goodbye/You are love('81)
TR007 Forever and ever/Ain't that lovin' you
TR008 She will survive Poland/Love is the reason('82)
TR010 It hurts to be in love/Love makes everything better('82)
+TR4009 Bed of roses/I know a goodbye('84)
No number Sweet lady of liberty('86)
TR100 Santa must be Polish/Santa Claus is comin' to town('87)
12" single
DVR1 Disco polka/I could have danced all night('79)long version
Albums
TRS 1000 Encore('80)
TRS 1001 Polka album('81)
*+TRS 1001 Sings Santa must be Polish('87)
*番号重複
+チャートイン
日本では、"It was nice to know you, John"が映画”アメリカン・バイオレンス”
の主題歌として、又"Jingle bells"がクリスマスのオムニバスCDに収録されて紹介
されたことがある。
CD
Bobby Vinton Collectors series、released in 1993.
Vol.1: Branson, MO 未発表:"Shalom"収録
Vol.2: He 未発表:”May I have the next love"
"Born to be with you"収録
Vol.3: Greatest hits 未発表:"What's another year"収録
Vol.4: Country album 未発表5曲収録
Vol.5: Polka album
上記のCDは劇場(現在は通販)で販売されているが、CDのレーベルはタペストリー
となっている。
(会報 第1号、第12号に掲載)
<Rare albums from around the world>
His heart touching magic/Bobby Vinton
And I love you so, Help me make it through the night, My heart cries for you, Please love me forever, I love how you love me, Love me with all your heart, Feelings, My melody of love, Roses are red, There!I've said it again// Mr.lonely, Sealed with a kiss, I'll never fall in love again, Rain rain go away, Blue velvet, Unchained melody, Blue on blue, My elusive dreams, Mr.blue, Beer barrel polka | |
Suffolk Marketing | CSP P17002('83)ミスターロンリー、ブルーヴェルヴェット等収録 |
発売当時、TVコマーシャルが流されたことによりセールスを伸ばしたLP。
通販専門のレーベルで、カントリー・シンガーの作品を得意としているようだ。
惜しいのはジャケットで、カラー写真を使って欲しかった。全20曲入りで、ABC
での録音が4曲、他はエピック録音で、冒頭の”アンド・アイ・ラブ・ユーソー”は
LP”Ev'ry day of my life"からのスロー・バージョンで聴ける。"My heart cries
for you""Mr. blue""Love me with all your heart"(太陽は燃えている)など
日本人向きの選曲の良さは認めたい。
(会報 第14号に掲載)
Bobby and the movie ボビーと映画
Big Jake 邦題: 百万ドルの血斗(1971)
Bat Jac Production. 110min. Producer: Michael Wayne
Director: George Sherman
Music: Elmer Bernstein
Cast: John Wayne, Richard Boone, Maureen O'Hara, Patrick Wayne
Chris Mitchum, Bruce Cabot, Bobby Vinton
Available on DVD and Video cassette
1971年の事、映画制作者マイケル・ウエイン(ジョン・ウエインの息子)はジョン・ウエインの
新作で、彼の息子役を人選していた。レコードジャケットの写真を見て、ボビーをその役に抜擢した。
映画「百万ドルの血斗」”Big Jake"は、ジョン・ウエイン、モーリン・オハラ、リチャード・ブーンなどの
豪華キャストで大ヒット、年間の興行成績でもベスト10に、はいった。ボビーはウエインの長男役で、
彼の留守の間、牧場を守っていたが、盗賊に襲われ、重傷を負い、前半で出演場面は、なくなってしまうが
なかなかの好演で、次回作「大列車強盗」"Train robbers"にも出演できるようになった。日本でも劇場
公開され、テレビでも何度も放映され、現在ではDVDで入手可能である。
(会報 第4号に掲載)
<Bobby and his rivals>ボビーと好敵手たち
The lettermen (1958~ )レターメン
Original members: Tony Butala, Mike Barnett,
Talmadge Russell
日本では、”涙のくちづけ””ミスター・ロンリー””忘れたいのに”など
ボビーの代表作で’70年代に高い人気を保っていたヴォーカルグループ。
1961年に"Way you look tonight"がチャートイン、最高位13位を記録した。
その後”When I fall in love""How is Julie""Theme from a summer place"
"Goin' out of my head/Can't take my eyes off you"などイージーリスニング
向きのヒットをコンスタントに放ち、’71年の"Love"が最後のチャート・ヒットと
なった。メンバーは、トニー・ブタラを中心に、’60年代にはJim Pike, Bob
Engemann('68年Gary Pikeと交代)の3人でさわやかなハーモニーでファンを
魅了した。甘いロマンティックなバラードを得意として、多くのベストセラーLPを
残した。往年の名盤がCD化されていないのが残念だが、グループは現在でも
存続し、ステージ、レコーディング活動を継続している。又、日本向けに新録音も
制作している。
ボビーのヒットでもある”君を想いつめて””いつまでも愛して”なども彼らのレパー
トリーとしてLPに収録されているが、ボビーを意識しながら自分たちの世界を保とう
とする姿が伝わってくる。彼らを取り巻く環境の変化は、必ずしも有利に働いていな
いが、中心人物であるトニー・ブタラの意欲が続く限り、その美しいハーモニーの
世界は多くのポピュラー音楽ファンに愛されていくであろう。
CDs by the Lettermen
Very best of/Collectables CD2735('98) Live in concert/Alpha Omega AO-05901 Best of/Capitol CDP 7-48438-2('88) Love is all/King KICP300('93)Japan Collector's series/Capitol C21Y98537('92) Song for young love/Once upon a time Collector's choice CCM-328-2(2002) Absolutely the best/EMI 302 061 386 2('04) Collection/EMI GSD-11301-06 ('03)6CD set Japan |
(会報 第18号に掲載)
Introducing books(書籍紹介)
20世紀ポップス名曲事典
かまち潤著 平凡社 定価 1,900円
2005.1月刊 316p
副書名に”1955~1999年 不滅のヒットソング 550”とあり
1950年代、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代から
著者の選んだヒット曲が全部で550曲選ばれ、日本盤のジャケット写真
レコード番号、作者、原題、邦題の情報とそれぞれの曲についての
解説がつけられている。1ページに2曲紹介されており、巻末には、
邦題索引、原題索引、アーティスト索引がついている。
ボビーの作品は、’60年代に2曲登場している。”ミスター・ロンリー”
”ブルー・ファイアー”で、日本での知名度を考慮すると後者はやや意外
な選定であるが、彼の熱心なファンには、当然な結果といえるだろう。
<ミスターロンリー,リヴァイヴァル・ヒット>
エイコン/ミスター・ロンリー
あの、”ミスター・ロンリー”を、エイコン(Alianue Thiam)が取り上げ、現在、全米で大きな
話題となっている。日本でもヒット中。2004年にデビューしファーストシングルは全米チャートの
トップ10にはいりアルバム”トラブル”もベストセラーとなり、2005年、このボビーのテーマ曲と
でもいうべき”ミスターロンリー”を取り上げて大成功をおさめている。
このCDシングルは日本でも発売され、アルバムヴァージョン、インストルメンタル、
アカペラの3つのヴァージョンが収録されている。今はやりの早回しサンプリング・リメイク
仕上げをボビーのファンはどうとらえるか?
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編集後記
今回のニュースレターは特別号で、会報の第1-20号の記事から再編集し
一部,加筆訂正して新しい記事も加えて編集してあります.
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Bobby Vinton International Fan Club of Japan, newsletter, no.36 Feb. 15, 2008 |
Focus on the Bobby Vinton Show(1975-78)
ボビー・ヴィントン・ショウ(1975-1978)特集
1 ヴァラエティ・ショウについて
さて、本題にはいる前に"Variety Show"について少しおさらいをしておこう。
日本でも放映された"Ed Sullivan Show"がその典型である。コメディーあり、
曲芸あり、物真似あり、そしてエンターテイナー達のパフォーマンスありと、もり沢山
で、ホストのパーソナリティがその存続に大きな影響力を持っている。日本でもかって
"Perry Como Show""Sing along with Mitch""Andy Williams Show""This is
Tom Jones""Julie Andrews hour""Sammy Davis, Jr. Show"などが一時期放送
されたことがあった。
全盛は’60年代,’70年代とされ、’80年代になると次第に衰退し"Dolly"(1987-1988)
Regular: Dolly Partonが最後とされている。ボビーのショウが登場した’70年代は、さま
ざまなスター達が通常,夜のゴールデン・タイムに1時間のヴァラエティ・ショウを持っていた。
人気の高かったのは、"Carol Burnett Show"(1967-1979), "Sonny & Cher Comedy
hour"(1971-1977), "Tony Orland & Dawn"(1974-1976), "Donny [Osmond]& Marie
[Osmond](1976-1979)などだが、’60年代から続いていた"Andy Williams Show""Glen
Campbell Goodtime Hour"が’70年代はじめに終了し、TV Producer達は新しいホスト役
を人選していた。ここまで紹介したショウはいずれもネットワークショウで、北米の大半の地
域で観る事ができたが、Syndicated Showになると映画でいう配給方式にあたり、番組の
購入が前提となった。
そこで、登場し30分番組ながら高い支持を集めたのが2人のボビーをホストに採用した
"Bobby Goldsboro Show"(1972-1975)と"Bobby Vinton Show"(1975-1978)である。
”ハニー”のヒットで知られるボビー・ゴールズボロのショウは"Henry Mancini""Vikki Carr"
"Johnny Mathis"それにボビー・ヴィントンをゲストとして招くなど高い視聴率をあげた。
日本での知名度はヴィントンをさらにしたまわっているなど、どちらかというと日本での人気
に反比例した人達がホスト役を務めていたのも皮肉である。
日本で放映されなかったことも大きく影響している。
2 ボビー・ヴィントン・ショウ
①ショウの開始まで
ボビーがこのショウのホストに採用されるまでには、紆余曲折
があった。Chris BeardというカナダのTV制作者がラスベガスで
テンポのよいボビーのショウに魅せられ、ショウのホスト役にと考えた
のが、きっかけで、同時期にEpicからLP"Greatest hits"が再発され
TVでもさかんに宣伝され、ベスト・セラーになっていた事もTV局のスタ
ッフの目にとまり、何人かの候補者の中から、”愛のメロディー”で人気
を盛り返していたボビーの抜擢が決まったようだ。ただしネットワークショウ
ではなくシンジケート方式(映画でいう配給方式)でTV局で放送の権利を
獲得する必要があった。スタッフ達の努力もあり北米の主な都市のTV局
で放映され、米国ではCBS、カナダではCFTO & CTV Networkが
実権をにぎっており、CBSが関係していた事が、後に番組の存続を左右
することになる。
②ショウのスタッフ
番組の制作にあたったのは、以下の人達である。
Executive Producers: Alan Byle & Chris Beard
Producer: Alan Thicke
Director: Mike Steele
Musical Director: Jimmy Dale
Musical Consultant: Bob Morgan
などで、過去に"Andy Williams Show"(1969-71)
"Sonny & Cher Comedy Hour"(1971-77)なども
てがけている。ショウはトロントのスタジオに数百人の
ファンを集めてライブで録画収録された。
アンディのショウはNHKで土・日の午後に
散発的に放映されたこともあり、覚えている方もいるだろう。
オリジナルの"Andy Williams Show"(1962-67)とは内容的に
かなり異なり、スタジオに数百人のファンを集め、コメディーを
取りいれアンディも若い世代へのアピールを狙ったショウだった
が、オリジナルのショウのような評価は得られず2年間で終焉した。
"Sonny & Cher Comedy Hour"はコメディ中心だが、数多くの
エンタテイナーがゲストとして登場した。ボビーもその内の一人で
ある。こちらの方は高い視聴率に支えられ、現在3枚組のDVDが
米国で発売されて好調な売れ行きを示している。
③ショウの構成
ショウは3年契約。30分番組でコマーシャルを差し引くと25分程度
の短いプログラムでオープニングでボビーが一曲披露したあと民族衣装
をまとったPolkaLadyがゲストを伴って登場、ゲストとのやりとりのあと再
度オープニングナンバーを歌う。このあとレギュラーのFreeman King,
Jack Duffy, Billy Vanとゲストのからんだコメディ・スケッチなどが続き、
ゲスト歌手の場合はボビーとのコーナーがありボビーとのDuoないし単独
でヒット曲を披露する。
ボビーの往年のヒット曲、スタンダードナンバーを一曲歌うコーナーや、
スタジオのファンの前で得意の楽器演奏やAl Jolsonなどへの
トリビュートなどでファンとの交流をはかる場合もあり、クロージングとなり
ここではゲストとボビーが”愛のメロディー”を合唱して終了する。
④豪華なゲスト陣
当初は、"Donna Fargo""Anne Murray""Tanya Tucker"などカントリー
系の女性歌手が中心だったが、徐々に枠をひろげ"Petula Clark""Patti
Page""Joanie Sommers""Freda Payne""Lesley Gore""Phoebe Snow"
"Lanie Kazan"ベテランでは"Abbe Lane""Teresa Brewer"それに"Ethel
Merman"まで登場している。ソウルでは"Spinners"が2度でているのを始め
"Donna Summer"をはじめてこの番組がTVで紹介している。
もっとも出場回数の多いのはやはり、コメディアンで"Arte Johnson"それに
「エド・サリヴァン・ショウ」にもよくでていた"John Byner"の2人が7回出場している。
歌手ではカナダで制作されていたことも関係して"Anne Murray"の3回が最高
である。男性歌手では、"Freddy Fender""Jim Stafford""Dion""Trini Lopez"
それにソングライターの"Paul Williams"などもでており、いかに豪華な陣容かがわ
かる。
Bobby & Petula Clark
⑤ボビーのパフォーマンスとホスト役
シリーズ物のホストは今回がはじめてのボビー、ゲストの紹介のしかたなどは
どちらかというと素人的、逆にそれが親近感をいだかせたかもしれない。
それ以上に、この番組の最大の見せ場は、ボビーがソロで往年のヒット曲や
スタンダードを歌うシーン、なかには、コメディーの中で歌われるナンバーもあるが、
完全にソロで歌う時のボビーはやはり、素晴らしい。いずれも口パクでなく生で歌っ
ており、エピソード#2の”ブルー・オン・ブルー”#5の”ミスター・ロンリー”#7の
”愛の告白”などは特によく、バックのJimmy Dale Orchestraが比較的オリジナル
に近いアレンジで演奏しており、特に”ミスター・ロンリー”これまで観たどの映像より
よく、感動的だ。
オープニング・ナンバーとしては, Another Saturday night(Sam Cooke)、I'm walkin'
(Fats Domino)、Runaway(Del Shannon)、Do you wanna dance(Bobby Freeman)や
Travellin' band(CCR)、When will I be loved(Everly Bros, Linda Ronstadt)などをとり
あげている点からボビーがロックン・ロール”の影響を少なからず受けているのがわかる。
よく比較されるアンディ・ウイリアムスとの違いはアンディがロックン・ロールから距離を
おいているのとは対照的に、プレスリーの映画「監獄ロック」などもボビーはバンド・リー
ダー時代に鑑賞したという事実にもあらわれている。
その一方「ジョルスン物語」を何度もみ、ショウのなかでもAl Jolson Medleyを披露する
などショウビジネスの伝統を受け継いでいこうとする姿勢もでている。ロックンロールと
ボードビリアンという異質のものを同時に消化してきたボビー。あるいはこれがボビー
の評価を中途半端なものとしてしまったかもしれない。
Bobby & Loretta Swit(女優)<Episode#2>
⑥まとめ
ボビーがショウの放映当時、出演したあるラジオ番組で語ったところによると、司会者
の30分では短いのではという問いに対し<30分で十分、できなかったら翌週やればいい。>
とかわしている。またショウはかなり先取りされ1975年の6月頃から収録が開始され、一週
間で4つのエピソードを制作し、コメディーなどもほとんど1テイクで、歌も事前に録音するので
なくその場で生で歌ったそうだ。今回、入手したファースト・シーズンの10プログラムをみると
ボビーがスタジオに集めたファンとの交流をいかに大切にしているかがよくわかる。
カリスマ的な雰囲気はなく近所の歌の好きなお兄さんといった感じで、コマーシャルを差し引
いた25分で実力を完全に発揮しているとは思えない。どうみても時間が足りない。彼の持てる
力を10とすれば6程度しかでていない。
ファースト・シーズンは高い視聴率に支えられたが、アメリカのCBSのスタッフはショウの構成
に、納得せず、ボビーは、自伝"Polish Prince"(M. Evans, 1978)の中で次ぎのように述懐して
いる。”CBSはショウの成功は制作とコメディーが、よかったからでボビー・ヴィントンがよかった
訳ではないと分析し2年目から内容を大幅に変更、ゲストが大幅にフューチャーされ、民族的
な背景も排除され自分自身の登場シーンが減ってショウの最初のスピリットがなくなってしまった。”
この結果ボビーは2シーズンと3シーズン目の内容には納得せず、徐々に意欲を失っていき
契約を更新しない道を選んだ。それでもカナダでは以前高い支持をえて、継続を打診されたよう
だ。2,3シーズンの番組は見ていないので何とも言えないが、カナダ人はボビーのパーソナリティ
と歌唱力に魅了されていたのは間違いない。
参考文献として"Complete directory to prime time network & cable TV Shows; 1946-
present(Ballatine Books, c1995)を利用したがここでは、52episodesとなっているが3年間
で52という数字は少なすぎるので, TV guideのホームページで調べたところ74episodesと
されており、詳しいエピソードの内容も掲載されている。ただし、放送日、エピソード#が記録
されていないのが難点。
ホームページに詳しいショウの内容をリストしてあるので感心のある方はご覧いただきたい。
All time great albums<あの1枚>
Bobby Vinton Show/ABC ABCD924(Dec. 1975)
Producer: Bob Morgan, Musical director: Jimmy Dale
邦盤”ボビー・ヴィントン・ショウ”(日本コロムビア)1976‐12月発売
YX-8053-AB
最高位:161位
The Bobby Vinton Show theme, Runaway(#8), Killing me softly with his song, Build me up Buttercup, Help me make it through the night(#8), Bad bad Leroy Brown, Way we were(#7) /Travellin' band(#6), United we stand(#8), Love Story, When will I be loved(#4), I'm walkin'(#15) And I love you so | |
ABCD-924 | Hit songs from the hit TV show |
( )は紹介されたエピソード# 二人だけの世界"United we stand"はショウでは
アン・マレーとのコンビで聴かせる。
このアルバムはショウのサウンドトラック・アルバムではなく、ショウで好評をえた
ナンバーをスタジオで再録音したもので、アレンジはTVで使われたものがそのまま
で、ボビーはスタジオ録音にもかかわらず、生に近い歌声を聞かせる。
ABCにおける3作目あたる本作品では、歌唱力をいかんなく発揮し、その実力
を存分に示している.”悲しき街角””トラヴェリン・バンド””アイム・ウオ-キン”は
ショウのオープニングで歌われた。自身のヒットがはいっていないのが残念だが、
この時期のボビーの充実ぶりは充分つたわってくる。日本では、一年後の1976年
になって"Serenades of love"(YX-8052/ABCD957)「愛のセレナーデ」と順番を逆
にしてのリリースだった。日本では当時”パロマ・ブランカ”が朝の番組で使用された
こともあってヒット、結果的にこのLPの発売につながった。この頃、ボビーを来日させ
ようという動きもあったが、不運にも本国アメリカのABCレコードでスタッフの移動
がありボビーの理解者が少なくなり、このあと"Name is love(AB981)(YX8096)
「愛のつづり」を発表しただけで、ベスト盤も発売されることなくABCレコードを離れ
ることになり、来日公演も宙にういてしまった。
又,ボビーはABCに残した音源をひきあげ自身のRexford Productionsで管理する
ようになりABC(現ユニヴァーサル・ミュージック)は彼の作品の発売権を持っていない。
<New release>
CD)Polka in paradise/Jimmy Sturr and his Orch
Special guest: Bobby Vinton/Rounder 11661-6115-2(July 11, 2006)
Put a light in the window, Monopol, Polka in paradise (Bobby Vinton), Wake up early in the morning, Give me a kiss, Dance with me, Roll out the barrel one more time, Miss Molly, Sweet memories of yesterday, Diamond ring, and others | |
Polka in paradise | Rounder 11661-6115-2 |
日本では無名な"Jimmy Sturr and his Orch."だがRounderレーベル
からポルカ系のCDを何種類か発売している。ボビーはこのバンドを
気に入っていてバックバンドとして採用したこともあり、ジミ-からの要請
に応じて、このCDのタイトル曲の録音を快諾した。録音日は明記されて
いないが、比較的最近の録音のようで、大変、貴重である。ポルカとボビー
この関係はファンなら忘れてはいけない。
.
<New Release in Japan>
映画「ミスター・ロンリー」の興行にあわせて、1964年のオリジ
ナルLPが、日本ではじめて紹介されます。紙ジャケット仕様のCD
で発売日は3月19日。
1ミスター・ロンリー、2オールウエイズ、オールウエイズ 3ティナ、4とこしえに貴方を、5ライフ・ゴーズ・オン、 6ラーフィング・オン・ジ・アウトサイド、7シング・コールド サッドネス、8緑の草原、9アイル・ネヴァー・スマイル・ アゲイン、10昔知っていた人、11サテン、12愛される こと | |
Epic/EICP-967 | ミスター・ロンリー(Original no. Epic BN26136) |
録音データ:1 1962年2月16日(New York)
10、11 1964年6月2日(New York)
3,5,6 1964年6月19日(New York)
7,8,12 1964年9月24日(Nashville)
2,4 1964年10月1日(New York)
9 1964年11月6日(Nashville)
4 とこしえに貴方を"Forever yours I remain"はバート・バカラックの作品。
アレンジもバカラック自身が担当。その他にRobert Mersey, Garry Sherman,
Charles Calello, Stan Applebaum, Bill Walkerなどが編曲者として名を連ねて
いる。LPチャートでは1965年はじめからランクされ13週ランク・インし最高位
18位を記録している。発売から44年たってやっと日本でも評価されたのは、
彼の実力の証明。このCDでは、20代後半ながら落ち着いたボビーの誠実な
歌声が心に残る。是非、コレクションに加えていただきたい。
<Video紹介>
Polish Americans 90min.
Production: WLIW21 New York, WMHT Schenectady &
WVIZ Cleveland.(c)1998
ポーランド系アメリカ人は、米国人口中の約1千万人で全体の約3%にあたり
州別ではNew York州、Illinois州、Michigan州、ボビーの生まれたPennsylvania州
はそれについで4番目にあたる。トータルの人口では、Wisconsin, Michigan,
Connecticut, Illinois, New Jerseyの順でボビーの”愛のメロディー”は、こういった
州を中心に米国全土へのヒットにつながっていった。それは、歌詞の一部にポーランド
語を使ったからに他ならない。
ここでは、俳優のStefanie Powers, 作家のSuzanne Strempekなどとともにボビー
が登場し、ポーランドとの関わりを述べる。ボビーは何度もインタビューにでてくるが、
収録は彼の劇場でされたようだ。特に目新しいエピソード等はなく、ライブの映像は
カナダでの"Live in concert"からのそれが使用されている。"My melody of love"
(愛のメロディー)が、ポーランド系アメリカ人のテーマソングとなっていることがこの
ビデオからもわかる。
特に専門的な内容なので一般向きとはいえないが、さまざまな人種からなるアメリ
カ合衆国でのポーランド系アメリカ人のこれまでのあしどり、その果たしてきた役割
などをインタビューやフィルムをもとに紹介している。
日本で知られたポーランド系アメリカ人としては、女優のジェーン・シーモア、ローレン・
バコール、映画監督のビリー・ワイルダー,元シカゴのピーター・セテラ、リベラ-チェなど
がいるが、ここには登場していない。
<Bobby Vinton Live: Songs from my heart>鑑賞記
さて、ここからは、前回の会報で特集した<ボビーのライブ映像資料
を見よう>の続編です。ブランソンの劇場で収録され全米で放映され
ヴィデオ化(DVD)された素晴らしい映像にまた、2人の方から、感想
をお寄せいただきましたので、ここに掲載します。アメリカでのボビーの
人気を支える中心層は中年女性です。前回は男性からみた鑑賞記でしたが、
今回はボビーの大ファンでいらっしゃる2人の女性評論家の文章を堪能してい
ただきましょう。
「みんなに見てほしいハートフルなコンサート」
菅沼正子(映画評論家)
ホッホー! なんともすばらしい。ぜいたくな80分。67歳であんな
に歌えるとは!むかしと全然変わらないじゃないか、いや、それ以上に
円熟したその歌唱力に圧倒される。すごいエネルギーだ。
私は、ボビー・ヴィントンが大好きだ。彼の歌う歌は心に響く。珠玉の
名曲<ミスター・ロンリー>がそのまま映画のタイトルになった「ミスター・
ロンリー」(2月2日公開)はオープニング早々、オリジナルの歌がたっぷ
り聴かれる。若い、実に若い声。甘い、実に甘い声。メロメロにとろける
ような甘い声。寂しくて、悲しくて、目にはうっすらと涙がにじむ。
「ぼくはひとりぼっち、さびしい、愛しい人はだれもいない。訪ねてくる人
も手紙もこない。ひとりぼっちでさびしい」・・・・・・孤独のわびしさを切々
と訴える。思わず抱きしめてやりたくなる。
これだ。これが私をボビーに惹きつけたのだ。60年代半ば、3人の
ボビーというのがいて私はだんぜんヴィントン派だったけれど、あれから
40余年、ダーリン派、ライデル派はどうしているのだろうか、思いは走馬
燈のように脳裏をかけめぐる。
デヴィッド・リンチが<ブルー・ベルベット>にインスパイアされて同名の
映画を作ったように、「ミスター・ロンリー」もあの歌の寂しさがモチーフと
なって,主人公たちの孤独を際立たせている。
さて、今回見せていただいたDVD、これは貴重品だ。冒頭でもふれた
ように、ほんとうにすばらしい。感激で胸がいっぱい。キューンと痛い。
痛いけれどホンワカとあったかい。全体の構成がみごと。ハートフルで、
ボビーの歌とキャラクターがうまく表現されている。観客と合間のセリフ
と選曲、すべてが一体感を持たせた全員参加型で、その演出も自然体
でとてもいい。
あの有名な<トゥナイト>を詩を変えてまるで持ち歌のように歌い、「
今宵はようこそ」と観客の心を一気にコンサート会場に引きつける。彼が
歌えばどんな歌でも自分の持ち歌として聴かせる。プレスリーの<ハウン
ド・ドック>さえボビーの歌になっている。歌唱力の豊さの証明だ。
ステージを大きく使って、足の動きが軽やかでとてもきれい。私はボビ
ーの前歴をよく知らないが、ひょっとしてスポーツマンではなかったろうか
、と思いながら見ていると、ママの登場で「少年時代はサッカー小僧だっ
た」と教えてくれた。
このママがすごい。胸元が大きく開いたまっ赤なス-ツ。知的で、いか
にも教育ママといった感じなのに、すごく艶っぽい。歌も上手いが、ダンス
の上手さは抜群。もうアメ-ジングだ。観客のスタンディング・オーベー
ションも当然、茶の間の私も思わずそうしたんだから。ボビーのママだから
歳はいわずもがなだが、ポジティブの「この親にしてこの子あり」か。
ボビーがあの歳にして、立て続けに歌っても、息切れもしてないし、声が
枯れてもいない。まさに天性のものなのか。それとも歌手は歳をとらないの?
そして3人の娘に<リンゴの木の下で>を歌わせるのも上手い選曲。「り
ンゴ」はいろいろな意味を持っている.元気であったり、目の中に入れても
痛くないという愛らしさの象徴でもあるのだ。美しく育った娘たちを見てくれ
というボビーのメッセージなのだ。
息子のロブも良かった。ハンサム。肩組んで歌う姿はお父さんのソックリさん。
お父さんよりもいい顔をしてる。いや、ボビーも若い頃はあのような甘いマスク
と容姿だったのかも。だって当時はテレビ放送は日本では見られないし、ビデオ
だってなかったんだから。私の愛したボビーは歌と歌声だけだったのだ。息子の
ロブの艶のある声はお父さん譲り。「キミだって、やる気になればポーリッシュ・
プリンスJrになれるさ」と励ますパパ・ボビーのやさしいまなざし。ボビーは若い
頃「ポーランドのプリンス」と呼ばれていたそうだ。どうやらこの家族、ポーランド
からの移民だろうと推測できる。
ラスト・イニングに入った<サンライズ・サンセット>あたりから郷愁の境地。
どんなに苦しいことも悲しいことも、家族の絆の強さは何ものにもかえられない、
と愛のぬくもりを熱唱する。そしてフィナーレの<愛のメロディー>。哀愁をおびた
美しいメロディーとスケールで、ピシャリとしめくくる。心優しい暖かさとぬくもり、
家族の絆の強さにあらためて感激した。
最後にひとつだけ疑問に思ったのは、奥さんはなぜ出てこないの?ということ。
ボビーも結婚30年と言っているのに。私は、20年ほど前のボビーの来日公演の
とき、彼と屋形船で東京湾クルージングをしたことがある。そのとき、本命を落とす
には外堀から切り崩せとばかりに、奥さんとばかり話しをしていた。「<ミスター・
ロンリー>の頃のGI時代は私とラブラブだったのよ」という裏話もあの時奥さんが
明かしたもの。* それはさておき、「家族」が崩壊しつつある今日の社会、嫌な
事件ばかりが報道されているが、そんな今日だからこそ、このDVDは多くの人に
見てほしい。そしてファミリータイズというものを味わってほしい。(文・菅沼正子)
*奥さんのドリーはこの時期、劇場の売店を経営していてステージには登場しな
かったし、次男のクリスも劇場のマネージャーでやはりステージには出ていない。
菅沼正子さんのProfile
映画評論家。静岡県生まれ。著書に「女と男の愛の風景」「スター55」「エンドマーク
のあとで」。NHKラジオ深夜便で「思い出のスクリーンメロディ」を2002年から2005
年まで担当。
菅沼さんを最初に知ったのは、「毎日グラフ」の記事で、1987年の来日
公演の模様を写真をいれてレポートされているのを偶然,発見したことにはじまります。
ボビーの大ファンであるということで、今回,原稿を書いていただきました。
<Bobby Vinton Live : Songs from my heart>鑑賞記
鈴木道子(音楽評論家)
ボビー・ヴィントン,最近懐かしい歌声がテレビCMで流れているが、1960年代に
ヒットやレコードを盛んに出していたシンガーたちは、今も健在で見事な歌声を聴か
せてくれている人たちが少なくない。中でもビング・クロスビー、フランク・シナトラの
流れを汲むクルーナーたちは、気張らない声の出し方も、長く現役を続けている。
歌手仲間の憧れの的ジョニー・マティスはじめ、アンディ・ウィリアムス、ボビー・
ヴィントン等はその代表的な歌手といっていい。
今回計らずも2002年3月にアメリカでテレビ放映(PBSチャンネル)された
"Bobby Vinton Live, Songs from my heart"(ブランソンのブルー・ヴェルヴェット・
シアターのライヴ)のDVDを見て、彼の健在ぶりがことのほか嬉しかった。懐かしさ
だけでない衰えを知らぬ彼の歌のうまさと、ファミリー・ショウ的な心温まるステージは、
彼の優しい人柄もうかがえて、観るものをほんわりとした気分に包み込んでしまう魅
力に満ちていた。
ボビーのことを、アンディとともに盛んに書いていたのは、もう40年前のことになる
から、なじみの顔は青年ボビー。そんなこともあって、最初はオジサン(おじいさんで
はありません)になった彼に、別人を見る思いがしたが、慣れてしまえば面影は残っ
ているし、往年のスウイートな声の艶こそ失われているが、相変わらずのいい声。
「Mr.ロンリー」の高音もちゃんと出る。滑らかな歌声はそのままに、歌のうまさが
快い。
『ウエスト・サイド物語』の「トゥナイト」を下敷きにしたオープニングもよく、すぐに
「涙の紅バラ」や「ブルー・オン・ブルー」をくりだしてファンを喜ばす。自分のシアター
を持って常打ちを重ねているエンターティナーの手馴れたステージ構成だが、80才
近い(?)ママが登場したのにはビックリ。しっかりした歌も達者なら、脚線美までご
披露してしまう芸人魂に感心。会場のSOと一緒に私も拍手を送りたい。こういうママ
からボビーは根性を受け継いでいるのだなあと思ったりする。また息子や娘たちも登場
して、ファミリー・ショウの和やかさを演出する。
ボビーのもう一つの呼び物は、多彩な楽器演奏者としての一面だろう。学生オーケ
ストラのリーダーとしてデビューしただけあり、グレン・ミラー・スタイルのオーケストラが
彼自身に因んで「ぺンシルヴェニア6500」を演奏した後、ボビー自身がトランペット、
サックス、クラリネット・ソロなどをバンドをバックに披露。お愛嬌でない本職の腕前で
楽しませる。ダンサーたちも彩りをそえて、一大リゾート地を訪れる観光客をもてな
していた。大半はリタイア組みだが、若い女性たちの姿も見える。
曲目は「ブルー・ヴェルヴェット」の大ヒットは勿論、ロイ・オービソンの「クライング」も
よかったし、ショパンに因んだメドレーや陽気なポルカで雰囲気を盛り上げたり、家族
総出で『屋根の上のヴァイオリン弾き』の「サンライズ・サンセット」を歌ったりと多彩な
音楽で楽しませる。また、客席に分けいって親しく交流するなど、家族的な雰囲気に
満ちた暖かいショウ。日本にも熱心なファンが多いのだから、CMが流れている間に、
ボビーにはぜひ来日してもらいたいと思った。
鈴木道子さんのプロフィ-ル
日本における女性ポピュラー音楽評論家の草分けの1人として今日まで数多くの
アーティストのアルバムのライナー・ノートを書いておられる。ボビーもその内の1人
で手元にあるボビーの日本盤LP6枚に鈴木さんの署名が見られる。おそらく、日本
で一番ボビー作品のライナーを書いた評論家といえるだろう。1964年にでた
「ブルー・ファイアを歌う」(エピック PS6014)のライナーのなかで「ミスター・ロンリー」
について「ジョニ-・マティスをほうふつとさせます。」と述べられ早くからジョニ-・マティ
スの影響を見抜いておられたのが1番印象に残っている。事実、筆者が彼の劇場で
”好きな男性歌手は?”という問いに対し彼は、迷わず”Johnny Mathis"と回答した。
近著は「アメリカン・ミュージック・ヒーローズ」(ショパン 2005)で訂正箇所があり
近々、再版されるとのこと。その他に訳書も多く「サッチモ~ニュー・オリンズの青春」
「ボブ・ディラン」などがある。
最近は,Barbra Streisand, Joni Mitchell に傾倒しておられボビーにごぶさた気味
のご様子で今回、最近のボビーを知っていただこうという趣旨でDVDを鑑賞していただ
いた。
編集後記
今回、"Bobby Vinton Show"の1部が入手できたので、特集を組みました。
ボビーのパフォーマンスの箇所だけをまとめたDVDが発売されないかなと
期待したいるのですが、それだけでも充分,鑑賞にたえうるいい作品になる
と思います。
<Bobby Vinton live: Songs from my heart>については前号に続き素晴
らしい原稿をいただきましたので、掲載させていただきました。是非、このDVD
が日本でも発売されるのを願うばかりです。
まもなく映画「ミスター・ロンリー」(監督ハーモニー・コリン)2007年度作品
が日本でも公開されます。監督がボビーの「ミスター・ロンリー」を気に入って
いるのが、この映画誕生につながったようで、これでますます「ミスター・ロン
リー」がより人気曲となるのは間違いないでしょうし、それ以上にボビー・ヴィ
ントンという素晴らしい歌手の再評価につながればありがたいのですが、、、
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